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心のたねを言の葉として

「財源依存、自治体は創意工夫失う」【中電、上関町道整備 原子力マネーと地域】㊥大島堅一・龍谷大教授

「財源依存、自治体は創意工夫失う」【中電、上関町道整備 原子力マネーと地域】㊥大島堅一・龍谷大教授 | 中国新聞デジタル /

 

https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/427582

 

 

 中国電力山口県上関町の肩代わりをする形で町道を整備したのは、事実上の寄付に当たると思います。昔はね、電力会社から原発立地自治体への巨額の寄付ってよくあったんです。

 本来、原発の立地は安全性などによって決められるべきです。しかし寄付が横行し、自治体にとって「お金が落ちること」が重要になっていた。原発のリスクが精査されないまま、全国のいろんなところに原発ができてしまった最大の要因が、原子力マネーでした。

 それが東日本大震災を機に、電力会社の行為が批判を浴びました。寄付金などを電気料金の原価に入れる「総括原価方式」も見直された。透明性も高まったと考えられていた。それなのに、外部から費用が分からない形で、中電が最近まで公道を整備していたというのは驚きました。

 上関町は、財源がないから中電に頼る。中電は、自治体が破綻して合併されたら困るから道路整備にまで手を差し伸べる。つまり「共依存」のような関係なのだろうと思います。

 でも、自治体が原子力マネーという外のお金に依存すると、一般的には自ら創意工夫しなくなります。何の苦労もなくお金が入るから。原発立地自治体の多くには、立派な温浴施設や豪華な文化施設があるんです。でもそうした施設は維持管理費がかかり、施設が老朽化した時には自治体にもう更新するお金がない。結局、一世代しか持たないんです。将来世代のためにならない。原発がないと回らない経済圏になるのです。

 もう転換しないといけない。東日本大震災を経て、原発の新増設は難しい。目先の財源でなく、自治体の自立と持続的な発展につながる策が要るのだと思います。(聞き手は編集委員・東海右佐衛門直柄)

 

 おおしま・けんいち 1967年、福井県鯖江市生まれ。一橋大大学院博士課程単位取得退学。専門は環境経済学立命館大教授などを経て、2017年から現職。12年に著書「原発のコスト」で大仏次郎論壇賞を受賞。