樹木希林の言葉 映画『人生フルーツ』(2017年 伏原健之)
散らかさなくてつつましくて始末がよくて、でも大胆なところもある
(老夫婦の素敵な暮らしを描いた映画『人生フルーツ』の)渡された台本を下読みもせずに、ただ読んだだけ。まぁ、60年近く声で人を騙してきてるからね(笑)。ナレーションはセリフを覚えなくていいからラクだと思ってたのに、年とったら耳も遠くなるし、活舌も悪くなるし。もう限界だと、スタッフには言っているんだけど。
英子さんは可愛らしい人でね。映画が完成した後、初めてお会いして一緒に居酒屋に行ったんですけど、いいエネルギーに満ちあふれていた。ああいう女性は、修一さんのようないい旦那さんがちゃんと来るのね。散らかさなくてつつましくて始末がよくて、でも大胆なところもある旦那さんで、本当に素敵なご夫婦。映画を見て〝こんな人生を歩めたらいう言ことなし〟だって、みんなそう思うんじゃない?
もちろん、その人生がうらやましいとか、自分の人生がイヤだとか、そういうことはないのよ。でも、それはそれ。こういうふうな道しか歩けない私は私。だけど。津端さんのような人生は見事だなぁと思いますね。
(「最期ぐらいは裕也さんの歌を聴きながら…」2017年1月)