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志賀原発、地震の揺れが一部で想定超え 原子炉異常なし 2024/1/10

志賀原発地震の揺れが一部で想定超え 原子炉異常なし

2024/1/10 日本経済新聞

 

原子力規制庁は10日、能登半島地震の発生時に北陸電力志賀原子力発電所(石川県志賀町)で観測した地震の揺れの加速度が、一部で設計上の想定をわずかに上回ったと明らかにした。耐震の安全性は確保できているとしている。

10日に開いた原子力規制委員会の会合で規制庁が説明した。規制庁と北陸電によると、1日の地震志賀原発1号機の原子炉建屋地下2階で震度5強を観測した。同原発は1、2号機とも停止中で使用済み核燃料プールの冷却などの機能に問題はないという。

原発には施設や設備ごとに考えられる最大の揺れがあり、構造物ごとに揺れの大きさを示す加速度(ガル)を想定する。1、2号機の原子炉建屋の基礎部分で揺れが想定を上回った。1号機では東西方向の0.47秒の周期で918ガルの想定に対し957ガルだった。規制庁は原子炉建屋などに異常はないと説明している。

複数の放射線監視装置(モニタリングポスト)で観測できない状況も続く。規制庁によると116地点のうち、10日午後6時時点で6地点が測定できず、5地点に代わりのポストを設けている。

 

北陸電によると、志賀原発には約3メートルの津波が到達した。1、2号機の一部の変圧器が破損して油が漏れ、外部電源の一部が使えない状態になっている。復旧のメドは立っていない。予備の電源変圧器で対応し、電源が途絶された場合に備えて非常用ディーゼル発電機なども用意している。

北陸電は10日、志賀原発の近隣の海面に推定約6リットルの油膜を確認したことも発表した。2号機の変圧器から漏れた油の流出とみられる。外部への放射能の影響はないとしている。

政府の地震調査研究推進本部の評価などによると、地震を起こしたのは能登半島北側を北東から南西に延びる150キロメートル程度の逆断層で、約45秒かかって動いたとみられている。国土地理院などの解析では、半島の先端に近い震源よりも西側で大きな地殻変動が起こった。これにより震源とは反対側の半島西端にある志賀町で最大震度7を記録した可能性がある。

志賀原発は2号機が再稼働に向けた規制委の安全性審査を受けている。規制委の山中伸介委員長は10日の記者会見で、地震の詳細なデータがそろうには年単位の時間を要すると指摘し「審査はそれ以上の時間がかかると思う」と述べた。(田中雅久、編集委員 小玉祥司)