ippo2011

心のたねを言の葉として

「カムイのうた」素晴らしい映画でした! 加藤登紀子

<TOKIKO NOW>
『「カムイのうた」素晴らしい映画でした!』
(2024.1.26up)



 ヒューマントラストシネマ渋谷で今日から上映スタートした「カムイのうた」観てきました。後半はもう涙ボロボロ。出演者がみなさん入魂の演技で、魂を揺さぶられる作品でした。
 上映前には監督の菅原浩志さんともお会いしましたが、数年前、お会いした時とは別人のようで、すっかり大御所の風格。
「どうしてそんなに変わったの?」と聞いたら、
「この映画が本当に大変でしたから」との答えでした。
 映画を見てよくわかりました。全編に重低音のように行き渡る緊張感、気力の張り詰めた画像の美しさに感動しました。吹雪の吹き荒れる中のシーンも多く、極寒のロケ、大自然の美しさに身を挺して撮られたことがわかります。
 今から100年前に出版された「アイヌ神謡集」の作者、知里幸恵の生涯を描くという大きな仕事。
 日本の先住民アイヌの人たちが自然との調和の中で生きていたところに、和人が入り込み、土地を奪い、学校では日本語を強制し、アイヌ語を禁止、徹底的に差別しました。
 そんな苦境の中でも、祖先から受け継がれてきたアイヌの生き方、ユーカラの美しさへの誇りを失わなかった知里幸恵という少女の内面が深く描かれています。
 19歳の若さで亡くなったその不遇の生涯を吉田美月喜さんが熱演。ユーカラを伝承する叔母さんの役を演じた島田歌穂さんも素晴らしかった!アイヌユーカラを完全にマスターするまでの大変な努力に脱帽です。
 生きたアイヌ文化への敬愛を体現した学者を演じた加藤雅也さん、恋人役の望月歩さん、とっても素敵でした。
 明日27日には監督と出演者、そしてこの映画を全面的に応援してきた東川町長も舞台挨拶に来られるとか、みなさん是非、駆けつけて下さい。
私は明日は和光高校での講演会があり、参加できません。
この講演会でも、この映画のことや、戦争のこと、若い人に今伝えたいことをお話しする予定です。
 冬らしい寒さが続きます。へこたれないように頑張りましょう!


加藤登紀子