加計学園、公立化できないなら千葉科学大は「撤退」 銚子市の検討委初会合で意向表明
2024年4月15日 東京新聞
千葉県銚子市の千葉科学大を運営する学校法人「加計学園」(岡山市)が大学の公立化を要望している問題で、銚子市が発足させた検討委員会の初会合が14日、市内であった。学園側が「公立化ができない場合は来年度からの新入生募集停止を考えざるを得ない」との意向を示したことに、委員らは議論が制約されると批判した。(堀場達)
◆「そんな発言は控えていただきたい」
公立化の可否を判断する委員会は学識者、地元団体の代表ら計10人で構成。8月までに最終案を取りまとめて越川信一市長に答申し、市が方針を決める。
初会合で、学園側の渡辺良人専務理事が募集停止の意向を示す際、最初は「撤退」と表現。委員から在校生への責任などを問われ、言葉を改めた。矢尾板俊平委員長(淑徳大地域創生学部長)は「議論がかなり制約されることになり遺憾。このような発言は今後控えていただきたい」と苦言を呈した。
◆「定員割れ」…公立化し学費を安く
大学では入学者が募集定員を下回る状況が続いている。学園側は公立化で学費が安くなり、学生が集めやすくなる見通しを強調。銚子市より人口が少ない自治体で公立大を設置した例を示し、いずれも定員を上回る入学者数を確保していると説明した。
これに対し、委員は「ほとんどは千葉科学大よりかなり小規模。唯一の例外の都留文科大(山梨県都留市)は教員養成を目的とした大学で、全国から志願者が集まる。これだけでは見通しの根拠が少ない」と指摘。経営状況のデータも不足しているとして、追加で資料を提出するよう求めた。
◆「安くなれば集まるわけではない」
会合後に記者会見した矢尾板委員長は「少子化が進み、公立化して授業料が安くなれば学生が集まるわけではない。需要ニーズはあるのか、公立化以外の方法もあるかなど論点はたくさんある」と話した。
初会合は約120人が会場で傍聴し、関心の高さをうかがわせた。