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能登半島地震、若狭湾沖に連鎖の恐れ 専門家「海底断層延長線上に位置」  2024年1月20日

能登半島地震若狭湾沖に連鎖の恐れ 専門家「海底断層延長線上に位置」
2024年1月20日 北陸中日新聞
 
 石川県の能登半島沖を震源として元日に最大震度7の揺れを観測した今回の大地震能登半島周辺では1日以降も活発な地震活動が続いている。政府の地震調査委員会などが地下深くの水(流体)の移動が地震に関与している可能性を指摘する中、福井高専の岡本拓夫教授(地震学)は、今回動いたとみられる海底断層の延長線上に若狭湾沖の断層があることから「本震や余震により、連鎖して地震が起きやすくなっている可能性がある」として注意を呼びかけている。
 能登半島では、1日の発生以降も大きな地震が断続的に発生している。16日午後にも最大震度5弱を観測する地震が起こった。気象庁によると、18日午後4時時点で震度5以上の揺れは17回、震度1以上は1451回に上っている。
 福井県内は1日の地震により、あわら市で震度5強を観測したが、多数の死傷者が出ている石川県と比べて被害は軽度。余震では、隣り合う福井県と比べて新潟県の方が震度が大きい場合もある。岡本教授はこの違いについて「新潟県の平野部は地盤が軟弱な上に、震源地からの距離が近いからだ」と指摘する。
 その一方で、岡本教授は1日の地震や現在も続く余震により、地震を起こす「ひずみ」が、若狭湾沖にある若狭海丘列付近断層(F49)にも蓄えられている可能性に言及。「一連の地震活動で、ひずみエネルギーが周りの断層に再配分されており、地震が連鎖する可能性を気にしなければならない」と話す。
 県が2020年10月に公表した津波浸水想定図は五つの断層での地震を想定。このうち若狭海丘列付近断層は、今回動いたとみられる奥能登北西の海底断層の延長線上にある。県によると、若狭海丘列付近断層は長さ87キロ、幅14・5キロ。県の津波浸水想定はマグニチュード(M)7・39の地震が発生する可能性を踏まえ、坂井市若狭町などで津波による浸水被害を予想している。
 日本海側では海岸に近い所で複数の断層地形が確認されているが、岡本教授は奥能登北西の海底断層の西に位置する別の断層と、若狭海丘列付近断層に着目。「流体が供給される限り、どこかを刺激するはず。福井県でも注意が必要だ」としている。
 (水野志保)