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心のたねを言の葉として

「大阪万博は中止すべきだ」  前川 喜平

大阪万博は中止すべきだ」  前川 喜平  現代教育行政研究会代表
(2023/11/5  東京新聞 「本音のコラム」)


2018年時点で1250億円と見積もられていた大阪万博の会場整備費は、2度の上振れの結 最大2350億円にまで跳ね上がった。 朝日新聞が10月14、15日に行った世論調査では、この増 額に「納得できない」という回答が71%に上った。 さらにANNが同28、29日に行った世論調 査では、大阪万博の開催に「反対」という回答が 58%に達した。 
ところが岸田内閣は2日、この増額を受け入れて追加負担を行うと表明。 さらにもともと負担 対象ではない会場警備費についても、200億円程度を支出する方向だという。 明らかに国民世論に反する方針だ。
15年に新国立競技場の建設費が当初の1300億円から2500億円超まで跳ね上がった際、世 論の批判を受けて政府は建設計画を白紙に戻した。 その経緯を検証した文部科学省の第三者委員会は同年9月の報告書で、当時の文部科学相事務次官日本スポーツ振興センターの理事長に組織の長としての責任があると断じた。
万博の経費上振れは誰の責任でもないのか? 軟弱地盤のごみ埋め立て地での開催を決めたのは誰か? カジノを誘致するため、万博を口実にインフラ整備を行おうと考えたのではないのか? 
大阪万博は中止すべきだ。 その上で経緯を検証し、責任者を白日の下にさらすべきである。