ippo2011

心のたねを言の葉として

陛下はきちんと黒いモーニングを着ていらっしゃる

「あの日 昭和20年の記憶」9月29日 (NHK出版)


三木睦子三木武夫記念館館長)当時28歳・東京 国会議員の夫と暮らす

 

  陛下がマッカーサー元帥をご訪問なさったことを、私たちは事前には知らなかった。マッカーサーと並ぶ陛下がお小さいというか、もっと胸を張って大きくしていらっしゃればいいのにと、なんとなくジリジリ悔しい思いをしました。マッカーサーは普段着を着て堂々としている、陛下はきちんと黒いモーニングを着ていらっしゃる。お暑くなかったかなあと思ったり。私たちにしてみれば、もう屈辱に耐えられないけど、ああ、これが負けたっていうことなのかあと思った。

 

 夫は戦時中に国会議員であった責任を感じて政治家を辞める決意をしていた。もう、大変なショックで、田舎へ帰って頭でも丸めようかぐらいのことを考えていたんだろうと思います。私が「そうはいかないでしょう、みんなアメリカのことなどろくすっぽ知らない人が、そこら中ウジョウジョしているんだから、国会に留まってもう少し日本の国のために働いたら」と言いました。本人は辞めようと決心していて、考え込んでいたようです。(抜粋)

 

 夫の三木武夫は第20回衆議院議員総選挙に無所属で出馬して当選、以降死去まで51年間連続在任する。