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心のたねを言の葉として

「公認の裏金」は改革しないの?岸田首相が繰り返した「政治活動の自由」で激論「自由にもほどがある」  2024年1月29日

「公認の裏金」は改革しないの?岸田首相が繰り返した「政治活動の自由」で激論「自由にもほどがある」
2024年1月29日  東京新聞

 

「派閥パーティーの裏金と同様、不正行為の温床となる」。
国会で29日に開かれた「政治とカネ」問題を巡る集中審議では、政治家が使い道を明かす必要がない「政策活動費」についても再三再四、議論になった。
裏金事件を受けて主要政党が打ち出した改革案の中で、自民党だけが具体策に言及していない政治資金だ。

与党の公明党からも追及された岸田文雄首相は、そのたびに「政治活動の自由とのバランス」と口にして「真摯に議論する」とかわし続けた。自民党は、不透明さが問題視されてきた「政策活動費」を改革するつもりはないのか。


◆他党は「廃止」や「使途公開」うたうのに
「政策活動費というお金は現在の法律上、認められた、いわば『公認の裏金』になっている」。
29日午前、衆議院予算委員会で質問に立った立憲民主党の階(しな)猛衆院議員は、語気を強めた。
自民党の政治刷新本部が26日に示した「中間取りまとめ」に、政策活動費の改革が盛り込まれなかった点をとらえ、岸田首相に「なぜ触れなかったのか」と迫った。
ここでも岸田首相は「政治活動の自由と国民の知る権利のバランス」を持ち出し、公明党議員への答弁を繰り返した。
政策活動費 政党から議員個人に支出される政治資金。党の収支報告書には支出先の議員名や金額を記載するが、受け取った議員側に記載義務はなく、使い道は不透明だ。自民党は2022年だけで14億円を支出。党内の派閥のパーティー券裏金問題で不記載が判明した安倍派の6億円超(5年間分)、二階派の2億円超(同)を上回る。


◆「廃止しないのか」に三たび同じ言葉で
他党はそれぞれの改革案で、政策活動費の廃止や、使い道の公開を掲げており、自民党の及び腰が目立っている。
階氏は、「5年に渡って(自民党)幹事長を務めた二階俊博衆院議員には、50億円を超える政策活動費が渡されている。異次元の規模です」とも言及した。
それに対し、岸田首相は具体的には答えなかった。
階氏は、二階氏への「50億円」に再度触れながら「やましいことがないなら、使途を公表すればいいだけです」「政治活動の自由にもほどがあると思いますよ。常識外れですよ」と追及。法改正の方向性について畳みかけた。
政治改革案に政策活動費廃止をうたっている立民。階氏が「政策活動費の廃止は考えていいないのか」と詰め寄ると、岸田首相は三たび「バランス」論を持ち出し、「各党各会派、共通のルールとして議論を行うべきだ」と言及を避けた。
階氏 政策活動費の廃止をこの場で、約束いただけないでしょうか。
岸田首相 政策活動費は、政治活動の自由との関係で、各党各会派の共通のルールに基づいて、取り扱うことが重要であると考えます。議論に貢献します。
階氏 野党が廃止なら、自民も廃止で問題ないと承ってよいですか。
岸田首相 政治活動の自由と国民の知る権利のバランスのなかで、あるべき結論を出さねばなりません。共通のルールとして議論を行うべきと考えます。
階氏 野党各党が廃止と言っていても、自民党は必ずしも賛成しないことはありうるんですか。
岸田首相 政治活動の自由と国民の知る権利のバランスのなかで、あるべき結論を出すべきだと考えます。
階氏 つまり廃止は考えていないということでいいですか。
岸田首相 政治活動の自由と国民の知る権利のバランスを考えることが、日本の民主主義を考える上で重要だと申し上げています。


◆他の費目は公開なのに…公明も維新も追及

階氏の前に質問に立った、公明党の中川康洋衆院議員も、派閥パーティーの裏金事件で捜査対象になった議員の発言に触れ、「隠れみのとして、政策活動費の言葉が使われていたなら、断じて看過できない」と強調。
日本維新の会の藤田文武衆院議員も「政策活動費として現金が配られることが常態化していたと推測せざるを得ない」と指摘した。
岸田首相はそのたびに「政治活動の自由」と言及した。
衆院予算委で最後に質問に立った緒方林太郎衆院議員は、「収支報告書では、他の費目はすべて記載する。なぜこの件(政策活動費)だけ透明性を下げることが、政治活動の自由に必要なんですか」「透明性を下げることの法的な利益は何か」と疑問をぶつけた。
岸田首相の答えは、同じだった。
「法的な利益。まさに政党をはじめとする政治活動の自由と知る権利のバランスの中で制度ができあがっています。バランスを維持することが重要だと思います」