2024年10月2日 NHK
イスラエル軍は日本時間2日午前1時半ごろ、イランからイスラエルに向けてミサイルが発射されたと発表しました。
イランが後ろ盾となっているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師がイスラエル軍に殺害されたことなどへの報復措置とみられています。イスラエル軍は現地1日午後7時半ごろ、日本時間2日午前1時半ごろ、イランからイスラエルに向けてミサイルが発射されたと発表しました。
発表では国民に向けて「警戒を維持し、軍の指示に正確に従うことが求められている。サイレンが聞こえたら安全な場所に入り、指示があるまでとどまるように」などとしています。
“100発以上のミサイル発射” イスラエル地元メディア
イスラエルの地元メディアは、イランからイスラエルに対し100発以上のミサイルが発射されたと伝えています。また、ロイター通信は、エルサレムで爆発音が聞こえるなどと、現地の状況を伝えています。
NHKエルサレム支局があるエルサレムでも、屋外で警報が鳴り響く中、現地時間の午後7時30分すぎに「ドーン」という音が少なくとも2回、聞こえました。
また、午後7時50分ごろにも2回、ドーンという音が聞こえたほか、断続的に爆発音が鳴っています。
“イラン革命防衛隊が声明”
一方、イランの軍事精鋭部隊、革命防衛隊とつながりのあるメディアの「タスニム通信」は1日、革命防衛隊の声明を報じました。それによりますと、イランはことし7月にイスラム組織ハマスの当時のハニーヤ最高幹部が訪問先のイランの首都テヘランで殺害されたことに加え、9月27日にレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師などがイスラエル軍の空爆で殺害されたことへの報復措置だとしています。
バイデン大統領 米軍にイスラエル支援を指示
アメリカ・ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議の報道官によりますと、バイデン大統領はアメリカ軍に対し、イランの攻撃からのイスラエルの防衛を支援し、イスラエルを標的としたミサイルを撃ち落とすよう指示を出したとしています。イランは、ことし4月にも、シリアにあるイラン大使館が攻撃を受けたことへの報復だとして、イスラエルに対して多数の無人機やミサイルによる大規模な攻撃に踏み切っています。
今回のイランからのミサイル発射によって中東地域での紛争のさらなる拡大が懸念されています。
“ミサイルの破片で2人けが” イスラエル救急当局
イスラエルの救急当局は現地時間の1日午後8時すぎ、これまでに最大の商業都市テルアビブでミサイルの破片にあたって2人がけがをしたと発表しました。
ニューヨーク原油市場 先物価格71ドル台に
ニューヨーク原油市場では中東情勢の一段の緊迫化を警戒して国際的な原油の先物価格が値上がりし、一時、1バレル=71ドル台をつけました。1日のニューヨーク原油市場では、国際的な取り引きの指標となるWTIの先物価格が1バレル=67ドル台から一時、71ドル台まで上昇しました。
イランがイスラエルに対して近く弾道ミサイルを発射する兆候があるとの報道を受けて、中東情勢が緊迫化し、原油の供給に悪影響が及ぶとの見方が広がったためです。
1バレル=71ドル台はおよそ1週間ぶりです。
市場関係者は「イランがイスラエルに攻撃を仕掛ける可能性を市場は想定しておらず、懸念が一気に高まった」と話しています。