再生エネと原発を「最大限活用」明記…エネルギー基本計画原案、電力安定と脱炭素を両立
2024/12/17 読売新聞
経済産業省は17日、3年ぶりに改定する中長期的なエネルギー政策の指針「エネルギー基本計画」の原案を公表した。原案では2040年度の電源構成について、電力の安定供給と脱炭素化を両立させるため再生可能エネルギーと原子力を「最大限活用する」との方針を明記。原子力に関しては現行の基本計画の「可能な限り依存度を低減する」との表現を削除し、東日本大震災以降のエネルギー政策からの転換を打ち出した。
経産省は第7次となる基本計画の策定を進めており、同日開いた有識者会議「総合資源エネルギー調査会」の分科会に原案を示した。政府は25年3月までに基本計画の閣議決定を目指す。
原案では、40年度の発電量を1・1兆~1・2兆キロ・ワット時に想定し、23年度実績より1~2割増えるとした。人工知能(AI)の普及によるデータセンターや半導体工場の増加などで電力需要の増加が見込まれるためで、基本計画の改定で発電量の想定が増えるのは、03年の第1次基本計画の決定以降で初めてとなる。発電量の増加には、再生エネと原子力の活用で対応する。原案では40年度の電源構成の目標について、再生エネを4~5割、原子力を2割、火力を3~4割とした。現行の第6次の基本計画では、30年度の目標について再生エネを36~38%、原子力を20~22%、火力を41%としていたが、再生エネの割合を引き上げた。
原子力については、原子力規制委員会が安全性を確認した発電所の再稼働を進めるほか、次世代革新炉の開発や設置にも取り組むとした。廃炉を決めた原発を持つ電力会社が、別の原発敷地内で建て替えることも認めた。再生エネでは、次世代太陽電池や洋上風力、地熱などを強化し、発電量を23年度(実績)から最大3倍に増やすとした。電力の約7割を依存する火力は、石炭を中心に発電量を減らす一方、燃やしても二酸化炭素(CO2)が出ない次世代エネルギーの水素やアンモニアを燃料として活用する方針などを打ち出した。
温室効果ガスの排出量は、これらの対策によって13年度比で40年度に73%削減し、50年までに実質ゼロを目指すとした。