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自民、疑惑解明進まぬ構造 政倫審「知らない」繰り返す   2024/3/1

自民、疑惑解明進まぬ構造 政倫審「知らない」繰り返す

2024/3/1 日本経済新聞

 

自民党は今回の政治資金問題の発覚後、党内調査や政治改革の議論に着手したものの、いまだに党内処分の方向性さえ示していない。党総裁である首相をトップとした党内統治が機能していない。

 

55年体制」で培われた党と派閥の二重構造の下、派閥の政治資金を外部の目で監視する視点が欠如していたのが要因といえる。民間企業では当たり前の監査や不祥事対応といった仕組みが整備されていなかった。

 

政倫審では派閥内の責任の所在の曖昧さもあらわになった。二階派事務総長だった武田良太総務相は2月29日の政倫審で、派閥の政治資金収支報告書への不記載に関し、自身と二階俊博会長は「関与していない。経理だけは事務局長に任せていた」と説いた。

西村、松野両氏も会計処理について「関わっていなかった」と話した。

松野氏は安倍派に影響力を持つ森喜朗元首相が派閥の政治資金問題を説明する必要性があると追及を受けた。「森氏の具体的な関与があったとの指摘も出ていない状況で、誰に聞くべきか申し上げるのは適当でない」とも発言した。

 

自民党に求められるのは疑惑解明の継続と再発防止策の徹底だ。首相は政倫審の質疑で「説明責任の果たし方、事実の状況も踏まえながら、党として処分をはじめとする政治責任を判断していく」と表明した。

首相は「政治家も責任を負う仕組み」として「連座制」の導入にも意欲をみせている。その半面で政治資金規正法の改正では自民党公明党や野党各党のような具体案をまとめ終えていない。

政治資金の透明性を高めるために収支報告書の開示といった仕組みでも改善点がある。米国や英国は即時開示の仕組みや、調査権限を持つ第三者機関の監視体制も整えている。国際的な観点から見ても日本の対応は遅れている。

 

現職首相が初めて政倫審に出席する異例の展開になっても、逆に自民党の構造問題や首相の指導力不足が露呈する結果となった。

首相が1月に派閥解消を打ち出してから、首相を支えてきた麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長との関係に変化が生じた。政倫審開催に至る野党との調整も幹部が矢面に立たず混乱を招いた。