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「不足している」はずのパトリオットをアメリカに輸出する? 木原防衛相、整合性を問われ「答えるのは困難」  2023年12月26日

「不足している」はずのパトリオットアメリカに輸出する? 木原防衛相、整合性を問われ「答えるのは困難」
2023年12月26日 東京新聞
 
 木原稔防衛相は26日の記者会見で、地上配備型の迎撃ミサイル「パトリオット」の自衛隊保有数が必要量の約4割不足していると試算しながら、米国に輸出する方針を決めたことの整合性について「足りているか足りていないかを現時点で答えるのは難しい。移転する数量は今後決める」と述べ、明確な説明を避けた。

◆「日本にとって日米同盟は基軸」

木原稔防衛相

木原稔防衛相

 防衛省は2022年10月、パトリオットが必要量の6割しか確保できていないとの試算を発表。この不足などを理由に、5年間で総額43兆円の防衛力整備計画を昨年末に決めた。自衛隊で不足するミサイルを米国に輸出する理由を問われた木原氏は「日本にとって日米同盟は基軸であり政策の一貫性はある」と答えた。
 対米輸出するパトリオットの多くは、戦闘機や巡航ミサイルを迎撃する旧型のPAC2だとも説明。弾道ミサイルに特化したPAC3も輸出するものの数量を抑えることで「日本の防衛に穴をあけることがないようにしたい」と強調した。

◆「完成品の輸出」解禁の第1弾

航空自衛隊のパトリオット(PAC3)=陸上自衛隊春日井駐屯地で

航空自衛隊パトリオットPAC3)=陸上自衛隊春日井駐屯地で

 政府は22日、武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定し、外国企業に特許料を払って日本で製造する「ライセンス生産品」の完成品の輸出を解禁。第1弾として米国の要請に基づきパトリオットの輸出を決めた。
 このルール緩和は国会審議を経ず、政府のみで決定したが、林芳正官房長官は26日の記者会見で「三原則は外為法の運用基準であり、策定見直しは行政権に属するものだ」と述べ、問題はないとの認識を示した。(川田篤志