沖縄辺野古計画は時代遅れ
沖縄の辺野古基地計画をめぐり、2023年12月20日、福岡高裁は沖縄県に、国の計画を認めるよう判決を下した。
しかし、米軍の戦略の基本は、小型化、分散化にシフトしており、2006年当時日米が合意した普天間計画は時代遅れとなっている。
2023年12月22日の朝日新聞に、アメリカの専門家の言葉が紹介されている。有料記事なので、その一部を載せる。
ショーン・ハーディング氏(米ジョンズ・ホプキンス大高等国際関係大学院博士課程)
私は米海兵隊で在日米軍再編に関わったが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設をめぐり、(2006年に日米両政府が合意した)辺野古の代替施設の現行計画は、現在の米軍の戦略構想に合わず、時代遅れと言わざるを得ない。冷戦期や冷戦後も日本の基地は米軍の航空優勢が保たれて安全だったが、(中国の)ミサイルの脅威のために脆弱(ぜいじゃく)になった。米軍は、常駐する航空戦力を幅広い拠点に分散させる戦略に切り替えている。各地の米軍基地のほか、自衛隊基地、十分な滑走路を持つ民間空港や港湾の使用もおそらく視野に入れている。
だが、辺野古の代替施設は条件を満たさないだろう。滑走路が短すぎて、使用できる航空機が限られる。岸壁の大きさも十分ではなく、艦船の使用も限られる。さらに自衛隊と共同使用する計画にもなっていない。
軟弱地盤など不明点が多く、工期もはっきりしない。本当に完成するかさえ誰も自信が持てないのではないか。工事が長引くほど、普天間は維持され続け、不満が募るばかりだ。
辺野古の代替施設の工事は、問題解決につながらず、より大きな問題を生みつつある。皮肉なことに、普天間を使い続けることが目的のようだ。長期的に、米国や沖縄県などだれも勝者にならないだろう。
工事に巨額のコストをかけるが、悪い投資だと思う。現在の米軍の分散戦略に合った他の航空基地や民間空港の改良に使う方がはるかに良い。沖縄の負担軽減にもつながるだろう。日米両政府、沖縄県の三者で信頼関係を構築し、合意の道筋を探ることが最優先だ。