電力システムの自由化や市場化に逆行
日本政府が導入しようとしているのは「規制資産ベース(Regulated Asset Base, RAB)モデル」と呼ばれるもので、原型は数年前に英国政府が提案した制度です。実質的には原発の新規建設への新たな補助金制度(原資は電気代および国民の税金)であり、世界の潮流である電力システムの自由化や市場化の流れに逆行するものです。後述するように、日本では今でも巨額の政府補助金がさまざまな形で原発に対して供与されています。さらにRABモデルが新たに導入されれば、圧倒的な地域独占企業で市場支配力を持つ大手電力会社、関係企業、銀行などの投資家は、巨額プロジェクトである原発の建設によって、たとえ工事遅延やコストオーバーランが起きても、極めて大きな利益を長期に渡って安定的に得ることができます。しかし、その代償として、私たち国民は、すぐに、かつ長期間にわたって高い電気料金や税金を支払わなければなりません。