ippo2011

心のたねを言の葉として

中間貯蔵施設に反対

中間貯蔵施設に反対

 

◆「中間」とは名ばかり。永久の核のゴミ捨て場に
・使用済核燃料の「中間貯蔵施設」は、原発の使用済核燃料を再処理するまでの間、最大50年間貯蔵するための施設です。青森県六ヶ所村では六ヶ所再処理工場が建設中ですが、完成予定が延期を繰返しており、操業の目途はありません。東電は、青森県むつ市の施設の操業は六ヶ所再処理の稼働に合わせて行うと公言しています。しかしむつ市の施設に入った使用済核燃料の行き先は、操業期間が40年とされる六ヶ所再処理工場ではありません。その次の「第二再処理工場」で処理されることになっていますが、「第二再処理工場」は検討すらされておらず、資源エネルギー庁による核燃料サイクル図からも消えています。核燃料サイクル政策は破綻しているのです。施設に送られた使用済核燃料は50年たっても行き場はなく、永久的なゴミ捨て場となるのは必至です。


原発の延命のための「中間貯蔵」
むつ市の施設の事業会社は東電と原電と契約しています。最初に送られてくるのは東電の柏崎刈羽原発の使用済核燃料です。東電が再稼働を予定している柏崎刈羽6・7号機は使用済燃料プールの貯蔵率が9割を超えていて、満杯状態です。他号機に移していますが、原発全体でも貯蔵率は8割を超えています。「中間貯蔵」は、原発の使用済燃料プールの満杯状態を解消し、原発の稼働を継続するためのものです。新潟県柏崎刈羽原発の再稼働に反対しているみなさんは、再稼働につながる使用済核燃料のむつ市への搬出にも反対されています。


◆危険を高める「中間貯蔵」
むつ市の施設は、カルデラ火山の恐山のふもとに位置します。わかっているだけで過去3回、比較的小さい噴火で火砕流が到達した場所です。地震により津波が到達する恐れもあります。事業者は、津波を防ぐ設計を行うとしていましたが、途中で方針を変え、津波をかぶっても安全だと言い出し、それでも規制委は審査を通してしまいました。燃料の入ったキャスクの密閉はいつまで持つのでしょうか。異常があれば点検するとしていますが、ふたを開けたとたんに放射能が漏れ出る恐れがあります。そのとき放射能が施設外に出ないようにするための設備はありません。


原発の使用済燃料プールでは、冷却水が止まり、使用済核燃料の発熱により溶融を引き起こす重大事故が心配されています。プールでの水冷よりも空冷による乾式貯蔵や中間貯蔵の方が安全だという議論がありますが、乾式貯蔵・中間貯蔵は、燃料溶融の引き金となる発熱量が高い燃料ではできません。プールに何年もつけて発熱量が十分に下がった古い燃料で行うものです。重大事故を防ぐためには、発熱量が高い使用済核燃料を発生させない、すなわち再稼働させないことが一番です。


原子力規制を監視する市民の会 阪上 武