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「殺傷能力ある武器」輸出解禁、自衛隊「パトリオット」を早速アメリカに 国会で議論ないまま「三原則」改定 2023年12月22日

「殺傷能力ある武器」輸出解禁、自衛隊パトリオット」を早速アメリカに 国会で議論ないまま「三原則」改定
2023年12月22日 東京新聞
 
 政府は22日、武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定した。三原則本体の改定は約10年ぶり。武器輸出政策を大幅に転換し、ミサイルや弾薬など殺傷能力のある武器輸出の解禁に踏み切った。国際紛争を助長する懸念は否定できないが、三原則は閣議で、運用指針は国家安全保障会議NSC)で決定され、国会での議論はなかった。(川田篤志

 防衛装備移転三原則 日本は1970年代に武器の原則禁輸を定めた武器輸出三原則を確立。安倍政権下の2014年に策定した防衛装備移転三原則で一部容認するルールに転換したが、国際共同開発品を除き殺傷武器の輸出は禁じてきた。2022年末に閣議決定された安全保障関連3文書が「防衛装備移転の推進」を掲げたのを受け、自民、公明両党の実務者が原則非公開の協議を経て、12月13日にルール緩和の提言をまとめた。

◆「ライセンス生産品」の輸出を容認 戦闘中の国へは認めない

 外国企業に特許料を払って日本で製造する「ライセンス生産品」について、米国などライセンス元の国へ完成品の輸出を容認することなどが柱。ライセンス生産品は現在、米国や英国など8カ国の79品目あり、迎撃ミサイルや大砲、弾薬などが含まれる。
 ライセンス元の国から第三国への輸出も解禁するが、殺傷武器に関しては戦闘中の国へは認めないとした。政府は第三国輸出の場合、ライセンス元の国に日本の事前同意を義務づけ、厳格に審査することで紛争国への流出の歯止めになると説明する。ただ輸出された後に適正に管理・処理されたかを確認できる仕組みは担保されておらず、相手国任せになる。
 殺傷能力のない武器の輸出を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」に限定した5類型については、本来業務に必要な武器の搭載は認める。ただ、類型自体の拡大は自公両党の折り合いが付かず、議論を続けることになった。
 岸田文雄首相は22日、「国際秩序を守るために貢献したい。平和国家としての基本的な理念は変わらない」と強調した。
 学習院大の青井未帆教授(憲法学)は今回の改定について、平和主義にのっとり国際紛争を助長しないとしている「憲法の精神に反する」と批判。当初の武器輸出三原則が国会審議を通じて確立されたことを挙げ、「与党の『密室協議』で国のあり方が変えられてよいのか」と指摘した。