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心のたねを言の葉として

映画『東京裁判』のメモ         関川宗秀

映画『東京裁判』のメモ         関川宗秀

 

1983年 小林正樹 277分  2018年デジタルリマスター版

 

東京裁判極東国際軍事裁判

アメリカ軍が撮影した170時間、50万フィートに及ぶフィルムから生まれた4時間37分の重厚なドキュメンタリー。

そして1万字を超える字幕スーパー、佐藤慶のナレーション、被告たちと検事たちとの肉声によるやりとり・・・

 

戦争がどのようにして起こり、どのような悲劇を生んだのかという歴史的事実を映画として描き出した。

 

事後法による裁判という問題、戦勝国が敗戦国を裁くこと、東京裁判が抱える矛盾も描き出そうとしている。

 

監督の小林正樹は書いている。

「制作の過程で『東京裁判』は世界の情勢と歴史の流れの中に位置づけて見直すという考えが次第に定着してきた。」

ポツダム会談で始まり、国際紛争の年表で終る記録映画『東京裁判』が歴史の教訓として、更に日本と世界を見直す広い視野への展開につながれば」

 

映画『東京裁判』は、小林正樹の願いの通り、東京裁判戦勝国の正義の押し付けといった感情論やイデオロギー論を超えて、歴史のなかに生きる私たちに視野の広がりをもたらしてくれる一本だった。