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心のたねを言の葉として

「同列」 師岡 カリーマ   2024/8/10 東京新聞 「本音のコラム」

「同列」 師岡 カリーマ 


2024/8/10 東京新聞 「本音のコラム」

 


原爆の日の平和祈念式典に(運営上の理由で)イスラエルを招待しなかった長崎市に対し、日本を除くG7諸国の大使らが連名で書簡を送り、同じく招待されないロシアとイスラエルを「同列に置く」ような事態は「不幸で誤解を招く」として「イスラエルが除外されるなら我々も高官の参加は困難」と警告していたことが分かった。米大使も式典を欠席した。
誤解があるようだが、大使らの参列が長崎の名誉なのではない。原爆を落とした国の代表が招待されることが名誉だと思うべきなのだ。「原爆投下は必要だった」という 米国の主張は正しくないが、人類史上初めて原爆が使われた広島の惨状を見た後で、長崎にも投下した行為は、人を人とも思わぬ蛮行だった。いまだ謝罪しない米国政府には、長崎に説教する資格はない。傲慢な三枚舌外交でパレスチナ問題の種を蒔いた英国も同様だ。
「同列」云々なら、今回の恐喝じみた書簡は、それを送った国々をイスラエルと「同列」に並べたに等しい。非人道的な国際法違反を繰り返し、やはり人を人と思わぬ攻撃を続けて万単位のガザ市民を殺害している国をここまでして擁護する大使らは、鎮魂の式典では場違いかもしれない。
誰が同列なのかは断言しまい。でも誰が同列でないかは明らかだ。書簡を送った国々と長崎市民である。長崎は、胸を張っていい。