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安平川からPFAS検出 飲用水の目標値超過 ラピダス工場の水源地   2024年7月16日

安平川からPFAS検出 飲用水の目標値超過 ラピダス工場の水源地

2024年7月16日  北海道新聞

 

 

 道は16日、苫小牧市の安平川から、国の飲用水の暫定目標値を超える有機フッ素化合物(PFAS)を検出したと発表した。PFASは発がん性が指摘されており、道内で暫定目標値を超えたのは初めて。次世代半導体の量産化を目指すラピダス(東京)などに供給される工業用水で、飲用はされないものの、検出地点の上流には胆振管内安平町の飲用水取水地がある。このため、道は水質調査を実施し原因の特定を急ぐ。
 暫定目標値が超過したのは、道が今月3日、安平川を水源とする苫小牧地区工業用水道第2施設を含む道内4カ所で実施した水質調査。ラピダスへの工業用水の供給を控えて行った。
 国の飲用水の暫定目標値は、PFASの一種のPFOSとPFOAの合計値で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)。第2施設では浄水前の川の水から同59ナノグラム、浄水後の水から同61ナノグラムをそれぞれ検出した。
 第2施設より約11~28キロ上流には、同町の浄水場が計3カ所あり、町内全4061世帯(6月末時点)に飲用水を供給している。このため、道と同町は16日、3浄水場を含む計11カ所で水質調査を実施。約1週間後に結果が判明する見通しで、田中一省副町長は「結果次第で活性炭を入れて(PFASを)除去することになる」と述べ、暫定目標値を超過した場合の対策を示した。
 一方、第2施設で浄水後の水は苫小牧市などの企業24カ所に工業用水として供給しており、飲用されていない。工業用水に水質基準値は設定されておらず、利用に支障はないという。
 ラピダスは2027年の工場本格稼働時に第2施設から水の供給を受ける予定。同社は取材に対し「もともと川の水にPFASが含まれている場合に備え、可能な限り除去する装置を設置する予定だった。量産に向けて影響はない」と説明する。千歳市次世代半導体拠点推進室は「まだ詳細の説明を受けていない。道に対し必要な対応を求めたい」と話している。
 <ことば>有機フッ素化合物(PFAS) 水や油をはじく、熱や薬品に強い特徴があり、フライパンのコーティングや衣類の撥水(はっすい)加工などに幅広く使われている一方、残留の可能性が高い。1万種類以上あり、国内では代表的なPFOAとPFOSが2021年までに輸入や製造が原則禁止された。体重50キロの人が生涯、PFASを含む水を毎日2リットルを飲んでも健康への影響がない基準として、1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)を暫定目標値としている。
 米軍や自衛隊基地、化学工場周辺で検出される事例が多く、環境省によると、22年度に実施したPFOSとPFOAの調査で、16都府県の地下水など111地点で暫定目標値を超過。道内では河川8地点で調査しているが、22年度までに超過したことはない。