ippo2011

心のたねを言の葉として

短歌

まぶた閉ざしやりたる兄をかたはらに兄が残しし粥をすすりき

まぶた閉ざしやりたる兄をかたはらに兄が残しし粥をすすりき 竹山広

チチル雨リツばあちゃんのデカい乳モノ言ウトキモ機関銃

チチル雨リツばあちゃんのデカい乳モノ言ウトキモ機関銃 なが山房子

妻は泣きわれは視線に文字を打つ午後の病室蝶も鳩も来ず

妻は泣きわれは視線に文字を打つ午後の病室蝶も鳩も来ず 長尾幹也

いつまでか 七の歌を書きつけん 知らばやつげよ 天の彦星

このたびばかりやとのみ思ひても、又数つもれば いつまでか 七の歌を書きつけん 知らばやつげよ 天の彦星 建礼門院

出でいなば 主なき宿と なりぬとも 軒端の梅よ 春をわするな

出でいなば 主なき宿と なりぬとも 軒端の梅よ 春をわするな 源実朝

炎帝の寵愛受けし向日葵の実り宿して白露の風吹く

炎帝の寵愛受けし向日葵の実り宿して白露の風吹く 重信房子

山はさけ 海はあせなむ 世なりとも 君にふた心 わがあらめやも

山はさけ 海はあせなむ 世なりとも 君にふた心 わがあらめやも 源実朝

大海の 磯もとどろに寄する波 割れて砕けて 裂けて散るかも

大海の 磯もとどろに寄する波 割れて砕けて 裂けて散るかも 源実朝

美しき戀歌うたひ灯のかげに舞はましものを銀扇かな

美しき戀歌うたひ灯のかげに舞はましものを銀扇かな 柳原白蓮

ゆくにあらず帰るにあらず居るにあらで生けるかこの身死せるかこの身

ゆくにあらず帰るにあらず居るにあらで生けるかこの身死せるかこの身 柳原白蓮

しづかなる暁ごとに見わたせば まだ深き夜の夢ぞかなしき

しづかなる暁ごとに見わたせば まだ深き夜の夢ぞかなしき 式子内親王のこの歌は、いつ詠まれたかわからない百首歌のひとつです。家集では327番です。新古今和歌集にも選ばれており、1969番釈教歌の部に収められています。その詞書には、「百首歌の中に、毎日…

新しき国の主(あるじ)にゆく人の紅よそほしく立つとふラヂオ

新しき国の主(あるじ)にゆく人の紅よそほしく立つとふラヂオ 土屋文明(昭和七年) 満州を武力侵略した日本の軍部および政治家たちは昭和七年三月「満州国」を中華民国から独立させ、清朝の最後の皇帝溥儀を執政に押し立てた。天津にかくれ住んでいた廃帝…

菊一輪ギロチンの上に微笑みし 黒き香りを遥かに偲ぶ

菊一輪ギロチンの上に微笑みし 黒き香りを遥かに偲ぶ 中濱鐵

あをあをとなやめる室にたゞひとり加里のほのほの白み燃えたる

あをあをとなやめる室にたゞひとり加里のほのほの白み燃えたる 宮沢賢治

今日よりぞ分析はじまる瓦斯の火のしづかに青くこゝろまぎれる

今日よりぞ分析はじまる瓦斯の火のしづかに青くこゝろまぎれる 宮沢賢治

いつのまにもみじしぬらむ山ざくら昨日か花の散るを惜しみし

いつのまにもみじしぬらむ山ざくら昨日か花の散るを惜しみし 具平親王

「おかあさんきょうはぼーるがつめたいね」小さいおまえの手が触る秋

「おかあさんきょうはぼーるがつめたいね」小さいおまえの手が触る秋 俵万智